第4章 運営
原状回復、どこまで
原状回復、どこまで
大家さんの負担?
ようするに→退去のときの修理代、だれがどこまで払うかのルールの話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
退去のたびにモヤモヤする原状回復費。じつは2020年の民法改正で
「ふつうに住んでできた傷みは借主の負担ではない」と法律に明記されたんだ。
ルールを知らないと、入居者さん負担にできる分まで払ってしまう。
逆に取りすぎればトラブルに。正しい線引きを覚えよう!
1大原則——「ふつうの生活の傷み」は大家さん持ち
民法621条と国土交通省のガイドラインが基準です。 時間がたてば誰が住んでも起きる傷み(経年劣化・通常損耗)は大家さんの負担、 入居者さんの不注意やお手入れ不足でできた傷みは入居者さんの負担。 この線引きが全ての出発点。家賃には「ふつうの傷み分」がもともと含まれている、という考え方です。
図:負担の分かれ目 早見表
2入居者さん負担でも「全額」ではない——6年ルール
ここが大家さんの盲点その2。入居者さんの過失による傷でも、 クロスなどは6年で価値がほぼゼロ(残存1円)になるとされているため、 経過年数分を差し引いた分しか請求できません。 たとえば入居5年でクロスに傷をつけられても、請求できるのは残り価値の約17%だけ。 「新品への張替え代を全額請求」は、そもそも通らないのです。
3大家さんの武器は「特約」と「写真」
だからこそプロは2つの備えをします。ひとつは特約。 ハウスクリーニング代などを入居者さん負担とする特約は、 負担の範囲と金額が具体的で、入居者さんがきちんと理解して合意していれば有効とされています(最高裁判例)。 契約時に金額まで明記して説明するのがコツ。 もうひとつは入居時・退去時の写真。「いつからあった傷か」の証拠がなければ、請求は水掛け論で負けます。
ここが落とし穴
①取りすぎは敷金返還トラブル・少額訴訟の火種に。ガイドラインより明らかに重い請求は裁判で通りません。
②逆に「面倒だから全部こちら持ち」は毎回数万円ずつの取りこぼし。
③あいまいな特約(「一切の修繕費を負担する」等)は無効とされがち。金額と範囲を具体的に書くこと。
きょうのまとめ
- ふつうの傷みは大家さん負担、不注意の傷みは入居者さん負担(民法に明記)
- 過失の傷でも経過年数分は差し引き。クロスは6年でほぼゼロ
- クリーニング特約は具体的+説明+合意で有効に
- 入退去時の写真が最強の証拠。撮る習慣を仕組みに