知らないとする 大家さんのお金の話
第1章 税金

減価償却で税金が
安くなるしくみ

ようするに→建物の「古くなっていく分」を、お金を払わずに経費にできる話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
「減価償却(げんかしょうきゃく)」——漢字4文字でむずかしそうだけど、 大家さんの節税のいちばんの主役なんだ。 しかも財布からお金が出ていかないのに経費になる、ふしぎな存在。 しくみを知ってる人と知らない人で、毎年の税金が大きく変わるよ!

1建物は「毎年少しずつ経費」にできる

1,500万円の物件を買った年に、1,500万円をまるごと経費にはできません。 そのかわり、建物は年月とともに古くなっていくので、「古くなっていく分」を毎年少しずつ経費にしていいことになっています。 これが減価償却です。大事なルールがひとつ——経費にできるのは建物だけ。土地はダメ。土地は何年たっても古くならない、という考え方だからです。

図1:減価償却できるのは「建物」だけ
建物 → 毎年経費にできる 土地 → 経費にできない
用語メモ 減価償却=モノの値段を「使える年数」で割って、毎年少しずつ経費にすること。物件価格は「建物いくら・土地いくら」に分けて考えます(この分け方が大事、というのは後ほど)。

2何年で割るの?——構造で決まっています

「使える年数」は自分では決められず、建物の構造ごとに法律で決まっています。 これを法定耐用年数(ほうていたいようねんすう)といい、賃貸住宅の場合は 木造22年・鉄骨造34年・RC造(鉄筋コンクリート)47年です。 たとえば新築で建物1,100万円の木造アパートなら、ざっくり1,100万円÷22年=毎年50万円ずつ経費にできる計算です。

図2:構造ごとの法定耐用年数(賃貸住宅の場合)
木造 22年 鉄骨造 34年 RC造 47年

3中古はもっと早く経費にできる(築古の魔法)

中古で買った建物は、残りの寿命が短いぶん、もっと短い年数で割ってよいルール(簡便法)があります。 計算式は2パターン。まだ耐用年数が残っていれば「(法定耐用年数−築年数)+築年数×20%」。 そして築年数が法定耐用年数を全部すぎていたら「法定耐用年数×20%」です。

つまり築22年超の木造なら、22年×20%=4.4→端数切り捨てでたった4年。 建物1,200万円なら毎年300万円という大きな経費を、4年間つくれることになります。 築古物件が節税に強いといわれる理由は、まさにここです。

図3:中古の耐用年数のはやみ計算(築22年超の木造の例)
築22年をすぎた木造 → 22年 × 20% = 4.4年 端数は切り捨て → 耐用年数は「4年」に! 建物1,200万円 ÷ 4年 = 毎年300万円の経費 ※お金は1円も出ていかないのに、帳簿の上で経費になる

4なぜ節税になるの?——「お金の出ない経費」だから

税金は「家賃収入−経費」で残った利益にかかります。 減価償却は財布からお金が出ていかないのに、経費として利益を減らしてくれるので、 手元にお金を残しながら税金だけを軽くできるのです。 給与のあるサラリーマン大家さんなら、帳簿上の赤字を給与とぶつける「損益通算」との合わせ技も使えます。

図4:減価償却が利益をへらしてくれるイメージ(年間の例)
減価償却を 知らない人 実費の経費 税金がかかる利益(大) 減価償却を 使う人 実費の経費 減価償却(お金は出ない) 利益(小) ↑ 同じ家賃収入でも、税金のかかる部分がこんなに小さくなる

5知っておくべき3つの落とし穴

ここが落とし穴
① 償却が終わると税金が重くなる——4年償却なら5年目から経費が急に消え、利益がふくらみます。「終わったあと」まで考えて買うのがプロの目線。
② 売るときに取り戻される——償却した分だけ帳簿上の建物の値段が下がるので、売却時の利益(譲渡所得)が大きく計算され、税金が増えます。減価償却は「税金ゼロの魔法」ではなく「税金の先送り+税率の差で得をする」しくみと理解するのが正解。
③ 建物価格の決め方で全部変わる——同じ1,500万円の物件でも「建物いくら」とするかで償却額が激変します。売買契約書に建物価格や消費税額を明記してもらうのが基本。大規模リフォーム済み物件は簡便法が使えない場合もあるので、金額が大きいときは税理士に相談を。
きょうのまとめ
  1. 建物の「古くなる分」はお金を払わずに経費にできる。土地はダメ
  2. 年数は構造で決まる。木造22年・鉄骨34年・RC47年(賃貸住宅)
  3. 築22年超の木造なら4年の短期償却。築古が節税に強い理由
  4. ただし「償却後」と「売却時」まで見すえてこそ本当の節税
自分の物件の「建物価格」と「残りの償却年数」、すぐ言えるかな? 確定申告書の「減価償却費の計算」欄を見れば載っているよ。 まずはそこを確認するところから始めてみてね!
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