第3章 融資・売却・法人化
売るタイミングと
売るタイミングと
「5年の壁」
ようするに→売る年をずらすだけで、税率が約2倍ちがう話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
物件を売って出た利益には税金がかかるんだけど、
その税率は持っていた期間が「5年以下か、5年超か」でほぼ2倍違うんだ。
しかもこの「5年」の数え方に、みんながひっかかるワナがある。
売る前に必ずこの記事を思い出して!
1税率はほぼ2倍——39.63% vs 20.315%
個人が物件を売った利益(譲渡所得)にかかる税率は、 所有期間5年以下の短期譲渡なら39.63%、5年超の長期譲渡なら20.315%(いずれも所得税・住民税・復興税の合計)。 たとえば利益が1,000万円なら、税金は約396万円か約203万円か——約193万円の差です。 売り急ぐ事情がないなら、この壁を越えてから売るのが鉄則です。
図:利益1,000万円で売ったときの税金のちがい
2ワナはここ——数えるのは「売った年の1月1日」時点
「買ってから5年たったから大丈夫」——ここが最大の落とし穴。 5年超かどうかは、売った日ではなく「売った年の1月1日」時点で判定されます。 たとえば2021年3月に買った物件を2026年3月に売ると、実際は5年たっていますが、 2026年1月1日時点では4年10ヶ月なので短期扱い。長期にするには2027年1月1日以降に売る必要があります。 ざっくり言うと「買った年から数えて6回目のお正月を越えてから売る」と覚えてください。
3利益の計算にも「へらせる材料」がある
税金がかかる利益は「売値−(買ったときの費用+売るときの費用)」。 仲介手数料や印紙代などの譲渡費用の入れ忘れ、買ったときの取得費の証明書類の紛失は、そのまま税金の払いすぎにつながります。 売買契約書・領収書は物件を売り終わって申告が済むまで、絶対に捨てないこと。 なお計算上の取得費は減価償却した分だけ小さくなるので、償却を効かせた物件ほど売却時の利益は大きく出ます(減価償却の記事とセットでどうぞ)。
ここが落とし穴
①年末〜年始をまたぐ売却相談は要注意。引き渡しが数週間ずれるだけで税率が倍半分になることがあります。
②自宅を売るときの「3,000万円控除」は、賃貸物件には使えません。
③この壁は個人だけの話。法人所有の物件には短期・長期の区別がないので、法人は市況優先で売り時を決められます。
きょうのまとめ
- 売却益の税率は短期39.63% vs 長期20.315%でほぼ2倍
- 判定は売った年の1月1日時点。「6回目のお正月」越えが合言葉
- 契約書・領収書の保管と譲渡費用の計上もれ防止も節税のうち
- 法人には5年の壁なし。個人か法人かで出口戦略は変わる