第5章 相続・生前贈与
「名義預金」は
「名義預金」は
贈与になっていない
ようするに→子ども名義の口座にコツコツ貯めても、贈与と認められない話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
「子どものために、子ども名義の口座に毎年110万円ずつ貯めてる」——
気持ちは満点。でも税務署から見ると、それは贈与じゃなくて「名義だけ子どもの、親の預金」かもしれない。
これを名義預金といって、相続税の税務調査でいちばん指摘される項目なんだ。
せっかくの積み立てが無駄にならないよう、正しい形を覚えよう!
1名義預金ってなに?——「名義」より「実態」で判定
名義預金とは、口座の名義人と本当の持ち主がちがう預金のこと。 子や孫の名義でも、実態が親のお金なら親の財産として相続税の対象になります。 税務署は名義ではなく、①お金の出どころは誰か ②通帳・印鑑・カードを誰が管理していたか ③名義人本人がその口座を知っていたか ④「あげる・もらう」の合意があったか——この4点で実態を見ます。
図:名義預金かどうかの4つのチェック
2怖いところ——時効がなく、何十年前でも課税
贈与税には原則6年(悪質なら7年)の時効がありますが、 名義預金はそもそも贈与が成立していないと判断されるため、時効がありません。 10年前でも30年前でも、亡くなった日の残高がまるごと相続財産に。 相続税の申告漏れとして追徴+加算税・延滞税、隠したと見なされれば重加算税まで課されます。 「良かれと思って」の積立が、いちばん高くつく結末です。
3正しい形——「あげた証拠」と「本人の自由」
対策はシンプルです。①毎回、贈与契約書をつくる(日付・金額・双方の署名)。 ②もらう人自身が開設・管理する口座へ振り込む(通帳・印鑑・カードは本人が保管)。 ③本人が自由に使える状態にする(少し使った形跡があるとなお良し)。 未成年の子への贈与は、親権者が代理で契約する形にすれば有効にできます。 すでに「怪しい口座」がある場合は、相続が起きる前に税理士に相談して整理しておくのが一番の防御です。
ここが落とし穴
①「贈与税の申告をしてあるから大丈夫」ではありません。実態(管理・認識)が伴わなければ名義預金と判定され得ます。
②専業主婦(主夫)名義の口座に配偶者の収入を貯めたケース——いわゆる「へそくり」も名義預金の典型例。
③名義預金は贈与し直すか、実態を整えるかで解消できます。放置がいちばん危険。気づいた今が直しどきです。
きょうのまとめ
- 名義が子でも実態が親なら親の相続財産(名義預金)
- 判定は出どころ・管理・認識・合意の4点セット
- 名義預金に時効なし。何十年前の分も課税対象
- 対策は契約書+本人管理+本人の自由。形と実態の両方を