第5章 相続・生前贈与
おしどり贈与
おしどり贈与
(夫婦の自宅2,000万円)
ようするに→結婚20年をこえた夫婦なら、自宅を非課税で渡せる。ただし使いどころに注意という話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
結婚20年をこえた夫婦へのごほうび、通称「おしどり贈与」。
自宅(またはその購入資金)なら2,000万円まで贈与税なしで配偶者に渡せるんだ。
でも実はこの特例、使って得する人と、かえって損する人がはっきり分かれる。
正直に両方教えるね!
1制度の中身——2,000万円+110万円まで非課税
正式名は「贈与税の配偶者控除」。条件は3つで、 ①婚姻期間20年超の夫婦間であること、 ②自宅の不動産(またはその購入資金)の贈与であること、 ③翌年3月15日までにそこに住み、住み続ける見込みであること。 基礎控除とあわせて最大2,110万円まで贈与税ゼロ。同じ配偶者からは一生に一度だけ使えます。 もちろん、贈与税0円でも申告が必須です。
2本当の強み——「直前でも足し戻されない」
おしどり贈与の隠れた最強ポイントは、暦年贈与の「死亡前7年の足し戻し」の対象外であること。 つまり相続の直前に贈与しても、控除額までは相続財産に戻されません。 また2019年の民法改正で、この贈与は遺産分割の計算でも「持ち戻し免除」と推定されるように。 「自宅は確実に配偶者に残したい」という想いを、税務と遺産分割の両面で守れる制度なのです。
図:おしどり贈与が「向く人・向かない人」
3正直な話——節税目的なら、たいてい相続のほうが得
ここが大事な本音。相続には配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)という超強力な制度があるため、 多くの家庭では「相続で渡せば税金ゼロ」。 しかも贈与には登録免許税2%(相続なら0.4%)と不動産取得税(相続なら非課税)がかかり、 試算では相続税の節税額より移転コストのほうが大きく、トータルで損になった例もあります。 おしどり贈与は「節税の道具」というより、売却予定や遺産分割の備えとして使う道具——これが正しい位置づけです。
ここが落とし穴
①贈与税0円でも申告しないと適用されません(戸籍謄本・登記事項証明書などを添付)。
②登録免許税・不動産取得税・登記費用という「移転コスト」が必ず発生。実行前に総額を試算。
③対象は「自宅」。賃貸物件や現金一般には使えません。
④使うか迷ったら、相続で渡した場合との2パターン試算を税理士に。これが一番の損失防止です。
きょうのまとめ
- 婚姻20年超なら自宅を2,110万円まで非課税で配偶者へ(一生に一度)
- 7年の足し戻し対象外+遺産分割でも持ち戻し免除の推定
- ただし相続なら配偶者は1.6億円まで非課税。節税目的なら要注意
- 移転コスト(登録免許税2%・取得税)込みで相続との比較試算を