知らないとする 大家さんのお金の話
第5章 相続・生前贈与

相続時精算課税制度
という選択肢

ようするに→先にまとめて財産を渡し、税金の精算は相続のときにする話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
贈与には2つのコースがあるって知ってた? ふつうの「暦年課税」と、届出をして選ぶ「相続時精算課税」。 2024年の改正で精算課税がグッと使いやすくなって、選ぶ人が増えているんだ。 ただし一度選ぶと戻れない一方通行。中身をちゃんと知ってから選ぼう!

1しくみ——2,500万円まで贈与税なしで前渡し

相続時精算課税は、60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選べる制度。 累計2,500万円まで贈与税なしで財産を前渡しでき(超えた分は一律20%)、 渡した財産は将来の相続のときに相続財産に足し戻して相続税で精算します。 つまり「非課税」ではなく「後払い」。それでも、値上がりしそうな財産や収益物件を 早めに次の世代へ移せるのが最大の価値です(贈与後の家賃収入は子のものになります)。

22024年の大改正——年110万円の「足し戻されない枠」誕生

改正の目玉がこれ。精算課税を選んだ人にも年110万円の基礎控除が新設され、 この110万円以下の贈与は申告不要で、しかも相続時に足し戻されません。 暦年贈与の110万円が「7年ルール」で足し戻されるのと対照的に、 精算課税の110万円は直前の贈与でも無傷。 「毎年コツコツ渡す」目的なら、いまや精算課税のほうが有利な場面が増えています。

図:2つの贈与コースくらべ(2024年改正後)
暦年課税(ふつうの贈与) ・年110万円まで非課税 ・届出なしで誰でも使える ・死亡前7年分は足し戻し ・相手を選ばず使える 相続時精算課税 ・累計2,500万円まで贈与税なし(後で精算) ・年110万円の枠は足し戻しナシ! ・届出必須&一度選ぶと戻れない ・60歳以上の親等→18歳以上の子・孫 ※どちらが得かは財産の種類・金額・家族構成しだい。選ぶ前に必ず試算を

3手続き——「届出書」を出さないと始まらない

精算課税を使うには、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に、 税務署へ「相続時精算課税選択届出書」を(必要書類とともに)提出します。 この紙を出していなければ、どれだけ贈与しても全部ふつうの暦年課税扱い。 まさに「申請しないと使えない」制度の代表です。

ここが落とし穴(大家さんは特に!)
一度選ぶと、その相手からの贈与は一生暦年課税に戻れません。 ②この制度で贈与した土地には小規模宅地等の特例(50%減)が使えません。アパートの敷地を贈与するかは、特例の損得込みで慎重に。 ③贈与時の評価で固定されるため、値下がりした場合はかえって不利に。 ④2,500万円の枠を使う贈与は申告必須。「どの財産を・いつ・どちらのコースで」は税理士と設計してから動くのが鉄則です。
きょうのまとめ
  1. 精算課税=2,500万円まで前渡しOK、税金は相続時に精算
  2. 2024年から年110万円の足し戻されない枠ができて大幅進化
  3. 使うには翌年3月15日までの届出が絶対条件
  4. 戻れない・小規模宅地NG。選ぶ前に必ずシミュレーション
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