第5章 相続・生前贈与
遺言書がないと
遺言書がないと
物件が動かせない
ようするに→共有名義になった物件は、全員のハンコがないと何もできなくなる話
最終確認日:2026年9月10日 ※制度は変わることがあります
大家さんの相続でいちばん怖いのは、税金よりも「物件が凍る」こと。
遺言がないまま相続が起きて、話し合いがまとまらないと、
物件は相続人みんなの共有状態に。そうなると売るのも直すのも全員の同意が必要になるんだ。
賃貸経営にとってこれは致命傷。防ぎ方はシンプル——遺言だよ!
1「共有」になると何が起きる?
遺言がなければ、遺産の分け方は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます。 まとまらない間、物件は法定相続分での共有状態。 共有物件は、売却や建て替えなどの大きな決定に共有者全員の同意が必要で、 大規模修繕や賃貸借契約まわりの判断も持分に応じた合意が要ります。 誰か一人が反対したり連絡が取れなかったりするだけで、経営判断がすべて止まる——これが「物件が凍る」の意味です。
図:遺言がない相続で物件が凍るまで
2大家さんの遺言は「物件ごとに誰へ」を書く
防ぎ方は、物件ごとに承継者を指定した遺言を残すこと。 「A棟は長男に、B棟は長女に、預金で調整」のように、 経営を引き継ぐ人に物件をまとめ、他の相続人には別の財産で配慮するのが賃貸経営の定石です。 あわせて、各相続人には最低限の取り分(遺留分)があるので、 それを侵害しない設計にしておくと、遺言そのものが争いの種になることを防げます。
3書き方は2ルート——おすすめは「保管制度」か「公正証書」
ルート①自筆証書遺言+法務局の保管制度:自分で書いた遺言を法務局が預かってくれる制度で、 手数料は1通3,900円。紛失・改ざんの心配がなく、家庭裁判所の検認(開封手続き)も不要になります。 ルート②公正証書遺言:公証人が作る最も確実な形。財産額に応じた手数料がかかりますが、 物件が多い・家族関係が複雑な大家さんはこちらが安心です。 どちらにせよ、書かないまま迎える相続がいちばん高くつきます。
ここが落とし穴
①自宅保管の自筆遺言は、発見されない・形式不備で無効・検認が必要、と弱点だらけ。書くなら保管制度か公正証書で。
②遺言は何度でも書き直せます。「物件を売ったのに古い遺言のまま」はトラブルの元。資産が動いたら見直しを。
③認知症になってからでは原則作れません。元気なうちにが唯一のタイミングです。
きょうのまとめ
- 遺言なし+協議難航=共有。売却も建て替えも全員の同意で物件が凍る
- 大家さんの遺言は「物件ごとに誰へ」+遺留分への配慮
- 自筆遺言は法務局保管(3,900円・検認不要)、確実さなら公正証書
- 書けるのは元気なうちだけ。今が最年少の書きどき